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今まで述べたとおり、私は自分の名字を泣く泣く手放し、新姓を名乗りながらも、それに抵抗している人間なわけですが、
改姓して生まれたのは、喪失感だけでした。

新姓に書き換えられた通帳や、マイナンバーカード、運転免許証を見て、多くの女性は
「結婚したんだこれで私も彼の奥様と嬉しい気持ちになるのでしょう。

しかし、私は違った。
そんな嬉しい気持ちなんて、私の中には1ミリたりとも存在していなかったのです。

私は、「桝田」の文字が二重線で消された通帳や、旧姓欄に入ってしまった「桝田」の文字を見て、公的に桝田めりこが存在しないことを強く実感させられました。
そして、アイデンティティの喪失ともいえるこの体験について、深く悲しむしかなかったのです。


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